◆◆FILE No.027 / 2006年11月配信◆◆
チタン・亜鉛って・・・その1
ここ3回程で日焼け止めに関連するお話をしてきました。
そして、きっと皆さんは
「紫外線吸収剤は使用してない商品がいい。」
と思っていらっしゃるでしょう。
そこで
その日焼け止めのまとめともなります
紫外線遮蔽剤の「酸化チタン」「酸化亜鉛」についてお話しましょう。
”ノンケミ”と言われる日焼け止めアイテムには必ずこれが使われいていますし
もうこれがなければ世の中のほとんどの日焼け止めは消滅してしまうという位
今では大変重要な素材となりましたね。
もちろん、皆さん注目の素材である事は言うまでもありません。
では、ここでいまさら何を学ぶのでしょうか?
う~ん・・・なんのお話からしましょうかねぇ(笑)
いえ・・・実はそれくらい
カルトな裏のある素材だという事なんですね。
「でも、表示されている成分名はどの製品も一緒だし、配合量だけの問題だよね???」
いえいえ
他ではあり得ないほど
ここに多くの裏が隠されている素材と言って良いのです。
「この素材は粉成分でできている事くらいは知っているし、それを液に配合さえすれば紫外線を反射してくれるはず・・・」
きっと皆さんの認識はこんな感じで
もしもその粉さえ入手できれば、「簡単に何かに混ぜて作れてしまえそう。」
と思われているかもしれません。
実際、某手作り化粧品材料のショップサイトでは
この素材をシアバターなどに練りこんで作るというレシピを公開し
販売しているようです。
これはとんでもない事だという事も含めて、お話に入っていきましょう。
まずはいつも通り、素材の基本的なお話に触れておきましょう。
酸化チタンや酸化亜鉛とは
非常に目の細かい燐片状の金属質の粉で
紫外線を化学的に吸収して防ぐ紫外線吸収剤と違って
鏡のように物理的に紫外線を乱反射させ
日焼けからお肌をブロックする素材です。
おわり(笑)
まぁ、物理的な機能を活用しているのですから、説明は簡単です。
ところで
皆さんはこの酸化チタンや酸化亜鉛のツブが
どの程度の大きさかご存知でしょうか。
このお答えは、実は簡単に出せないというのが正解なのです。
例えば、皆さんビックリされるかもわかりませんが
絵を描く時に使う水性絵の具の白色。
実は、あれがまさにこの酸化チタンの分散液なのです。
あの絵の具に使われている酸化チタンで
だいたい10ミクロン程度でしょうか。
そして、日焼け止めに実際に使われているモノは
だいたい1ミクロン(1000ナノ)~100ナノ程度の大きさで
微粒子酸化チタンと呼ばれ
メーカーによってもかなりの違いがあります。
メーカーによっては
60ナノというさらに細かい粒子の微粒子酸化チタンを採用し
お肌の上でより白くならないように謳われている商品も
多くなっています。
実は、この粒子の大きさが透明感になって表れているんですね。
絵の具が白いのは、こういう理由によるものだったのです。
ちなみに
昨年ナノテクノロジー技術がお肌に悪い影響を及ぼすのではという問題が
アメリカから派生してきて問題になったのは
実はこの事だったんですね。
話は戻りますが
そしてもっとも重要なのは
これはもともとの粉の状態でのお話というところです。
これを「一次粒子」といいます。
これはどういう事かというと
皆さんはお好み焼きやホットケーキを作る時に
小麦粉を水の中に入れるとダマになる経験をお持ちでしょう。
実は、酸化チタンや酸化亜鉛も
製剤化する際にこれと同じ現象が起きるのです。
もっとも、お好み焼きの粉は少々目に見える程度のダマが残っていても影響はありませんので
シャカシャカとやって焼いてしまいます。
しかしながら
日焼け止めはそうはいきませんね。
お肌の上で白いツブツブが残っては困りますし
それだけでなく当然肝心の紫外線を反射させる表面積が
全く変わってくる事になります。
という事で、ここは製造メーカーの製造技術の見せどころという訳です。
「いかに一次粒子に近くまで分散させる事ができるか」
これは、成分名や配合量
そして見た目では判断できない商品の品質に繋がっているんですね。
*
また、さらに重要なポイントとして覚えておくべきなのが
「二次凝集」という言葉です。
なんだか難しそうな言葉ですが
ようするに製剤後の年数の経過により
一度一次粒子に近い状態にまで分散させた粉の粒子が
再びくっつきあって少しずつダマを形成していくという現象です。
これもそれを防ぐための製法
そして製剤研究技術の腕のみせどころポイントとなります。
いずれにしても、あまり怪しげなメーカーの日焼け止め
そして購入してから日が経った商品は
使わないに越した事はないという事ができます。
少なくとも
「昨年の夏に買った日焼け止め、今年の海水浴に使えるかなぁ・・・」
これは、お止め下さいね(苦笑)