週3で異なる目線の美容記事をお届け
化粧品の広告事例についてのお話
しかも大手さんでもあり得るという
消費者の信頼がゆらぐ事例
このブログは美容業界の方々もご覧頂いており、今回の話題は広告表現の参考になると思いますが、ユーザーの皆さんにおいても、法をすり抜けようとこういった害になる広告を打っているメーカーさんの信頼度が推し量れる材料となると思います。
実例をもとに
早速今回とりあげるメーカーさんの広告ですが、そのスタンプがこちら。
スマホだけでしか表示されない、LP広告ですね。
医薬部外品の美白アイテム広告の一部分です。
ユーザーさんがご覧になってもNG部分は明白で、ちょっと驚きのLP広告ですよね。
これ、おそらくですが、一度閉じてしまうと二度と表示されないように設定されていると思います。
画面をコピーしようと再度URLを入れてアクセスしても、表示されないはずです。
つまり、サイトURLを拾っての通報や摘発を避けるための手法です。
(【商品はコチラ】のリンクから販売サイトに移動した時点で、広告として成功というプロセス)
さすがにブランド名・企業名は隠しましたが、なんと国民の誰しもが知る医薬品メーカーさんの化粧品ブランドです。
いわば、医薬品メーカーとしては大手さんということになります。
表現文言のひとつひとつは割愛しますが、ここにある文言のようなエキサイティングな違法表現が、いたるところに散りばめられています。
そしてなによりひどいのが画像。
こんなくっきりとした大きなシミが、化粧品(医薬部外品)を塗布しただけでこんな魔法みたいに消えるわけがありません。
皮膚科で処方されるハイドロキノンでも、ここまで見事にキレイにはなりません。
ただでさえ、効能を標ぼうするためのいわゆる「ビフォー・アフター」(使用前・使用後)と言われる画像を製品のPRに掲載することは、ご法度とされています。
にも関わらず、誰がみても明らかに加工画像と分かる写真をPRに掲載するなんて、違法広告の見本のようなモノと言い切っても過言ではありません。
しかも上で書いたように、この商品は「美白アイテム」です。
なのに、シワを解消する画像と文言が掲載されています。
これまたさらにひどい加工画像ですね。。。
そしてさらにひどいのは、この記述です。
他社製品を名指しで〇✕をつけ、自社製品の良さをアピールです。
これも当然、完全に「アウト」な宣伝手法です。
これって、製品名を掲載された企業さんはダマっているのでしょうかねぇ・・・。
広告作成の裏技
さてこの広告の主の企業さんは、こんな広告を平然と作成して宣伝し、社内精査で引っ掛からなかったのでしょうか?
大手企業さんですし、なんといっても東証一部上場のフォールディングス企業です。
普通に考えて、この広告の制作途中に社内の審査で指摘を受けなかったわけがありませんね。
いや、そう信じたいです。
ここにこうしたえげつない広告の裏技がありまして、こういうことです。
つまり、広告を作成したのは無名の広告代理店の企業さんで、自分達は何も知らなかった・・・(ことにしたい)・・・というわけです。
しかもこの広告代理店は、間違いなく会社の存在を飛ばしています。
ここに表記されている電話番号は携帯番号ですし、この住所にこちらの企業名の会社は存在しません。
電話番号を検索すると、全く違うあちこちの住所が出て来ます(笑)
いわば幽霊会社のようなジャンクな企業が広告制作を請け負い、薬務課や消費者生活センターから摘発を受けても、責任をここが被ろうというストーリーです。
数年前まではこういったやり口がスマホの世界にはびこっていましたが、今はもう広告主であるメーカーの責任が法で問われることになっていますので、そう遠くない間に処分対象となって広告は消えることでしょう。
こんなセコいやり方で製品を売ろうとする企業を、信頼なんてできませんね。
まぁ、中身の全成分をみても、うたい文句の美白の有効成分がプラセンタでは、大手医薬品会社として恥ずかしいとしか言えません。
なにより、本体の方の医薬品の信頼度を下げてしまう影響を心配致します。
いやー、”日本で初めて「〇が生える」と謳える医薬品”との宣伝の製品、効果があるのではないかと評価していたんですけどねぇ・・・。
一気に不信感を抱いた、今回の広告でした・・・残念。
医薬品メーカーだから信頼できる?
ということで、これからEC通販で顧客開拓を目指そうとお考えの化粧品メーカーさん、くれぐれもこういったLP広告を作成してくれる業者さんにお仕事を依頼されないよう、ご注意申し上げます。
また、こうした効能の表現が可能な化粧品・医薬部外品などありませんので、同じような製品を作りたいなどと化粧品OEM工場さんに依頼されないよう、お願い致します。
謳われている効能は、違法のガセネタですので。
まぁ、普通にOEM工場さんは薬事・広告の法律に詳しい専門の方が必ずおられますので、広告を作成する際には検閲をお願いすればよいですね。
製品を作って頂いたのですから、それで個別に費用を要求されるわけでもありませんし、なによりたくさんのメーカーさんのOEM案件を受けていますので、毎日のようにお役所(薬務課)とやりとりをしていますし、まさに常に更新されている今日現在の現場レベルでの薬事・広告事情をよくご存じですから、助かりますね。
OEM工場さんも、今どきはそこまで担って初めての「OEM企業」としてのサービスですからね。
「薬事のことならお任せ」なんて業者の広告を最近よく見掛けますが、そこに別途で費用を掛ける意味が私には理解不能です。
それにしても、どうにも傾向としては、医薬品メーカーさんが化粧品業界に参入してくると、到底その業界の企業とは思えない、えげつない企画・製品が多いように感じますね。
逆に、化粧品メーカーさんが医薬品の業界に参入するケースは、意外と生真面目で目立たない展開をされているように思えます。
きっと皆さんは、大手化粧品メーカーさんが医薬品を販売していることすら、ほとんどご存じないでしょうね。
それ位、アンダーグラウンドに地味に展開されています。
例えばカネボウさんは、クラシエ医薬品という企業名で医薬品の製造・販売をされています。
最後に余談でした。
ではまた次回。
by.美里 康人