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クレンジングの評価試験~その1

クレンジング性能評価

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美里康人

いよいよお盆休み
今年は、2週に渡ってクレンジングの性能テストについての特集記事

さて今回は、ユーザーの皆様には直接的に関係のない話題ですが、化粧品業界の研究室では開発にあたってどんなテストをしているのかといったお話をしてみたいと思います。

年にいくどか業界の研究者の方々を対象に実施させて頂いている、品質の安心を得るための「安定性試験」とはまた異なり、化粧品の機能をテストするための試験のことですね。
洗顔フォームであれば泡の質や濃密度、日焼け止めであれば紫外線を防ぐ性能といった試験です。
今回はそういったテストの中でも、比較的分かりやすいメイクを落とすためのアイテム「クレンジング」の性能を推し量るためのノウハウを、一例として知って頂きたいと思います。
いわば、他のメーカーさんとどれだけ違うか、それを知るためのテスト方法を覗いてみようとという特集です。

まぁ、早い話がいくら処方を開発する研究ができたとしても、その性能を推し量るすべがなければ他社との差別化はできませんので、これは必要不可欠と言えます。
これを調べずして新製品の処方開発はできませんものね。

では早速、ちょこっと覗くことにしましょうか。

あらためてクレンジングとは

今回は、クレンジングというユーザーの皆さんにも分かりやすい製品のテスト方法について、取り上げます。

とはいえ、おそらくユーザーの皆さんは、メイクが落ちればいいのでメイクアイテムを塗布して落とせるかどうかのテストでいいんじゃないの?と想像される方が多いかもしれません。
確かに間違いではありませんが、実はそんな簡単なものではないのですね。
昨今はYou Tubeなどでもそんな性能を見せるための実験クンみたいな動画が人気を博しているようですが、一部の方々が批判されておられる通り、そんな簡単なテストで化粧品の性能が語れるのであれば、大手ブランドさんみたく性能評価試験の機器やテスト方法開発に、膨大な費用を投資するわけもありません。
そうした技術開発だけでもひとつの学術カテゴリーが確立されているくらい、綿密かつ緻密なテストなのですよね。
ああいった子供だましのお遊びにお付き合いされているユーザーさんを否定は致しませんが、信じて商品購入の動機にされない大人になるべきということだけは、お伝えしておきましょう。

それはさておき、先に進みましょう。

例えば、メイクといったって様々な場所に使用する様々なタイプのメイクアイテムがありますね。
ザっとあげてもご覧の通り。

 ・アイシャドウ
 ・アイブロウ
 ・マスカラ
 ・ファンデーション
 ・口紅
 ・日焼け止め
 ・ルースパウダー
  etc.

この辺りで既におぉ・・・確かにと感じられたかもしれませんね。
当然ですが、それぞれに全く製剤も異なりますし、使われている成分も違いますので、それに対応した設計でないといけません。
しかも、例えばマスカラやアイライナーのように、水溶性と油溶性などメーカーさんによって全く異なる設計の剤型の製品もありますので、対応クレンジングの設計はさらに複雑怪奇となります。

他にも、メイクだけでなく毛穴に詰まったタンパク質や角栓なども除去しなければなりませんので、まさに多角的に性能を追求していかねばなりません。
では、簡単にそれぞれのメイクにどんな違いがあるのか、サラっと解説していきます。

メイクアイテムの設計の違い

ぱくたそhttps://www.pakutaso.com/

上であげた一部の例について、基本設計の成分にどんな違いがあるのか解説していきましょう。

アイシャドウ

この製品は固形状のパレットになっているタイプが主流ですので、こういった固形状のメイクアイテムはタルクといったパウダー成分をプレス(圧縮)して固めてある製品がほとんどですので、この微粒子のパウダー成分が毛穴に詰まっていることを想定しなくてはなりません。
つまりパウダー成分を落とすことが可能かどうかが、カギになります。
また、パウダー成分同士がくっついて固定されるように、成分の一部がオイル成分やシリコンで構成されていることが課題となります。

アイブロウ
このアイテムは非常に悩ましく、いわゆる鉛筆のようなペンシルタイプに加え、昨今は筆ペンタイプの製品が多くなり、それぞれに全く基本設計が異なるために対応クレンジングも変わってきます。

ペンシルタイプの製品は固形ワックスが主成分でそれに顔料を練り込んでありますので、いわゆるロウ成分が落ちるクレンジングでないといけません。
一方の筆ペンタイプは水性と油性の2種類があり、当然対応できるクレンジングも変わってきます。
また、油性の中にはシリコンが使われている製品もありますので、これにも対応できるようなクレンジングが必要になります。
ちなみに、水性タイプのアイブロウはオイルでは溶けませんので、落とせないオイルクレンジングがあることに注意して下さい。

マスカラ
このアイテムにも油性タイプと水性タイプがあり、マスカラは特に製剤が濃厚な設計となっていますので、水性タイプは落としにくいクレンジングオイルがあることを覚えておいて下さい。

ファンデーション
ファンデーションは今やプレスドタイプが主流で、これは形態からもアイシャドウと類似した剤型と考えれば良いですね。
パウダー成分がほとんどですので、微粒子になった粉成分が毛穴に詰まらないように落とせるクレンジングが必要になります。

また、かなりの製品がシリコン成分で持続性や耐水性が強化されていますので、シリコンがしっかりと落とせる設計のクレンジングが必要になります。

口紅
固形の口紅はペンシルタイプのアイブロウと同様に固形ワックスで顔料を固めてあるのが主流ですので、これをしっかりと落とせるクレンジングの工夫が必要になります。
またほとんどの製品は耐水性と持ち性能が強化されていますので、シリコンをしっかり落とせるクレンジングを選択しなければなりません。
特に口紅は唇のシワに顔料が深く入り込みますので、かなりの性能が要求されるアイテムです。

日焼け止め
リキッドタイプが主流ですが、ほとんどの製品が液状のシリコンをベースに作られていますので、シリコンを落とすことが可能かがもっとも要求されるアイテムです。
昨今は特殊な製剤のウォータリータイプの製品も出ていますので、見極めが必要です。
ちなみにエアゾールタイプは比較的落としやすい製剤が多く、さほどクレンジングの性能を見極める必要はないかもしれませんね。

ルースパウダー
これは見た目通り、ほとんどがパウダー成分で設計されていますので、物理的に粉成分を落とす性能に優れていれば課題はあまりありません。
界面活性剤などは付着面の界面を緩めてくれますので、スルっと落ちると考えて良いでしょう。

以上、他にもまだ取り上げていないメイク製品群がありますが、このようにクレンジングに求められる性能は多岐に渡っていますので、開発する側も購入する側も、綿密に考える必要があるというわけですね。

こうなると、ちょこっと覗くというレベルではないことになってきましたね。

ただ、以前に自宅で行える簡単なクレンジングのテスト方法をアップしていますので、ユーザーの皆さんはあらためて参考にされて商品選びの参考にされて下さいね。

機能性コスメ評価法~その1:クレンジング(FILE No.031)
https://cosmetic-web.jp/column/mail-magazine-31/

で、本題の化粧品の研究現場ではどのようなテストをしているのかの話題に入りますが、長くなりましたのでお盆休み後半の次週へと続きます。

ではまた次週。

by.美里 康人

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