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ポリマーフリー、無機ゲルクリームの可能性

美里康人

「無機ゲル」とはどういう意味でしょう。
私の造語ではありますが
合成ポリマーフリーで
ゲルクリームの可能性模索。

Doctor-Xがんばる

個人的に大ファンの米倉さんが気合の入ったダンスでCMをしていて、またオールインワンコンセプトゲルクリームブームを起こすのかもしれませんね。

とはいえ、私はずいぶんと以前よりオールインワンのコンセプトによく使われる「ゲルクリーム」を評価していません。
つまり、「オールインワンがイマイチ」と言った中のひとりは、私になります。。。(苦笑)

いや、いくら大ファンとは言っても、またあのミニスカートで「はぁ?」と言われても、ここはそう簡単に譲るわけにはまいりません。
それはやはりいつも記事で述べている通り、製剤上の特長として必ず合成ポリマーがしっかり使われていることに他なりません。

もちろん、合成ポリマーを悪者にしているつもりはありませんが、とにかく高分子成分は皮膚浸透の妨げになるのは逃れられませんので、よほどピチピチした超健康な赤ちゃん肌でもない限り、皮膚表面の保湿ケアだけでは十分なスキンケアを望めないと考えるのが持論です。

例えば皮膚科ドクターも提唱しているように、ピーリングによって角層を除去して基底層部分から皮膚を再構築させる治療法が、お肌を生まれ変わらせるメカニズムとして確立されているのも、やはりインナーケア理論によるものですし。

とにもかくにもポリマーを核とした製剤には、どう転んで考えても前向きなスキンケア理論と繋がりが見いだせません。

ゲルクリームにも利がある

と、前置きがずいぶんになりましたが、とはいえ現代においては「ゲルクリーム」というカテゴリーのアイテムに、長の一端がないわけではありません。
それはなにより、「日常の中でのライトケア」でしょうか。

つまりスキンケア理論として、化粧水といった「水分補充ケア」の先に必要なのは油分補給であることは十分にユーザーさんの間に浸透はしていますが、かといってお若い若年層の世代のユーザーさんには、保湿クリームのような重厚なアイテムは重過ぎる、という点です。
もちろん、こういった購買層の方々には乳液というアイテムもありますが、それではどこか物足りなさが生じますし、なによりこれもポリマーが使われています。

ここは製剤のお話になるのでユーザーの皆さんには理解が難しいところですが、クリームというしっかりとした粘度の高い製剤は、油分をそれなりな量にしなければクリーム状にならないのが鉄則。
なので、結果的にどうしても重厚かつ濃密なアイテムになってしまうのは宿命なのです。

そうなると、ここでお助けマンとして登場するのが、合成ポリマー
合成ポリマーにクリームの硬さの役目を担わせてあげれば、あとは油分と界面活性剤を少し入れてあげれば、「ライトなタッチのゲルクリーム」ができるわけです。
これが若年層のニーズにピッタリのケアであることは、やはり否定のしようがありません。

死角はないか

さて、ではユーザーの皆さんも考えることとして

「合成ポリマーなしで作ればいいんじゃね?」

となりますよね。
う~~~~~ん・・・これはワールドワイドに探してもみつけることは叶いません。
基剤のベースになるゲルにするには、必ず高分子素材が必要になりますからね。

そんなこんなで、リーマン研究者から独立して以降は、ゲルクリームというカテゴリーの設計に真剣に取り組もうとも思ってきませんでしたが、これだけのニーズがあるのなら達成してみたいと思わせてしまうわけです。

そこで頭に浮かんできたのが、掲題にある「無機ゲル」です。

「無機」の反意語は「有機」ですから、いわば市場にある全てのゲルやゲルクリームは、「有機ゲル」になります。
誰も否定のしようがないスキンケアの一大原則論として、「有機物はお肌に影響を及ぼしやすい」という鉄則があります。

そんな有機物を避けて、果たしてゲルが作れるのか?

可能なのかといえば・・・相当に困難ではありますが、粘土鉱物にその可能性が秘められています。
いわゆる皆さんもよく知る「土」ですね。
「クレイ」と書いた方が分かりやすいでしょうか。
子供の頃に遊んだ「粘土」がその一例です。

あれ、見ればお分かりのように、いわば凄い硬いゲルですよね。
そうそう、水分を含むとあのように硬くなっていくんですね。
いわばひとつのゲル化剤の一種でもあるわけです。

いやー、でもかといってアレって、遊んでいると手指がカサカサしてきてとてもじゃないですが、保湿には程遠い皮膚の感触ですよね。
そうなんです。
あれは皮膚から水分を奪い取っていくため、完全に反対の方向性で皮膚はカサカサになってしまいます。
泥パックが使用後に全く潤わず、むしろカサカサになってしまうのも同じメカニズムです。
その性質を利用して、毛穴の汚れや角質を除去するパックや洗顔料にも使われています。

可能性は?

では、天然の様々な土成分は、全てこんな性質なのだろうか?
記事はもう終盤ですが、こうなると可能性はないことになるのでしょうか。

いえいえ、ゼロではありません。
泥の成分の中には、ああいったゲル化機能を持ちながらも、水分を呼んでくれる、そしてさらに言えば電気的に密着して滑らかな皮膚感をもたらしてくれる素材があるんです。

もちろん、普通によくあるクレイをそのまま使ったのではダメです。
泥成分の中から、ごくわずかに含まれているその性質の異なる部分だけを取り出して精製すれば良いんですね。

しかし、まだそれだけでは達成されません。
ゲルクリームを設計するのなら、これに油分を配合して乳化させなければなりません。
ここで乳化剤として界面活性剤を使ってしまえば、あまり意味がありません。
もちろん、この時に油分が邪魔をしてゲルが壊れてしまっては元も子もありません。

実はその一端がすでにある

実はこうした技術の応用は今に始まったことではなく、15年程前からミルクファンデーションやクリームファンデーションに応用されています。
資生堂さんが、そのノウハウを公開して有名になりました。

ただこの技術、スキンケア理論に叶っていない点がひとつあるんです。
それは「有機(変性)粘土鉱物」であることです。

最初に書きましたね。
皮膚に影響を及ぼさないのは「無機」です、と。

つまりこの泥成分には有機物を化学的にくっつけてあり、乳化剤として応用されているんです。
いやいや、それでは私的にダメなんです。
現にこの有機変性粘土鉱物は、やはりわずかに刺激を持つとされています。

ダメじゃん。。。

無機鉱物のままでこれが達成できないか、ここが大きな壁ですねぇ。
実ははるか彼方に、針の穴のような小さな小さな灯りが見え隠れしているんです。
少なくとも、一般的なクレイと違って非常にお肌に潤いをもたらしてくれ、なおかつお肌がスベスベになる泥成分もあるのです。
訳の分からない化学合成保湿成分など、必要ありません。

皆さんもよくご存じの、こんなのもあります。


 ※出典:グローバルサービス㈱(「パラオ ナイスデーツアー」)

これはサンゴ砂ですが、「ミルキーウェイ」と呼ばれてお肌がツルツルになると評判です。

とはいえ、あまりに遠い小さくわずかな灯り。
たどり着くまでに消えてしまうかもしれません。

いえ、灯ではなく、私の仕事人生が・・・(笑)

今回は夢物語的な記事でしたが、今回の展示会で発表のセラミドの特異な性質を利用した、界面活性剤・合成ポリマーを一切使わない乳液設計技術も、もともとは技術者にとって夢物語な革新技術。
ひょっとしたら今回も、天から神が下りてきてストンと、解決できるかもしれません。
またその時は、こちらで話題にしたいものです。

ではまた。

by.美里 康人

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