週3で異なる目線の美容記事をお届け
美里康人
何がどう違うのでしょうか
今回の話題は「鮫肌」と「鳥肌」についてのお話。
--それ、一緒でしょ!
そんな声も聞かれますが、確かにいちいち使い分けをしていない方もおられるかもしれませんね。
ただ、色々と調べると実は異なる意味をなしていることが分かります。
皮膚の病的な症状も関係していることから、今回はそんなお話について進めていきましょう。
この記事の目次
さぶいぼ?
最初に「鳥肌」という言葉について、皆さんがよく使うシーンについて触れておきましょう。
で、鳥肌のことを“さぶいぼ”という地域もあり、関西出身の自分は関東に越してきてからこれを使って???と反応されたことがあります。
子供の頃に冬の季節などで“寒い”という表現を関西では“さぶい”と言っていましたので、これが語源になったのでしょうね。
自分のイメージはまんざら間違いではなく、さぶいぼという言葉を使う地域の分布図はこのような感じなのだそうです。
■ウェザーニュース(株式会社ウェザーニューズ)
リンク先)https://weathernews.jp/s/topics/201902/140155/
ですので“鳥肌”という言葉は、一般的には寒い時やカラダがゾクゾクと感じた時にお肌に浮き立つブツブツのことを指していると考えて良いでしょう。
しかしこの現象、どんなメカニズムで起きているのでしょうか。
実はこれ、皮膚から熱を逃がさないようにするための機能。
皮膚の毛根にある毛を起こすための立毛筋という筋肉が、低温を感じたらギュっとちぢむことで起きる現象なんですね。
この筋肉が縮むことで毛が引っ張られて持ち上げられます。
するとそこにイボのようなものができて毛穴周辺が密着し、少しでも熱を逃げにくくしているというわけです。 こうして膨らんだのが鳥肌と呼んでいます。
とはいえ、ヒトの体毛は他の動物ほどフサフサしていませんよね。 なので、実のところ人間の場合はあまりその意味をなしていません。
ヒトが体毛の多かった猿人のようだった頃の名残りとされています。
そういえば、ネコちゃんの毛が総立ちになるシーンを見たことはありませんか?
それがお題の画像ですね。
ネコ同士がケンカをして怒りを露わにしていたり、驚いた時に手足をピンと伸ばして毛が総立ちになるユニークな状態のアレです。
あれがまさに、ネコの鳥肌が立った状態なのだそうです。
あの状態にそんな意味があったなんて、という感じですよね。
鳥とサメ
さて、ここまで皆さんも経験したことのあるシーンの鳥肌現象について述べてきましたが、では似たような言葉の「鮫肌」とは違うのでしょうか。
イメージとしては、サメの皮膚のような“鮫肌”という言葉の状態は、これまで解説してきたような瞬間的に起きる鳥肌とは違うような感じですよね。
でも、関東に来てから幾度か上の鳥肌の状態を「鮫肌」と言う方もおられました。
そのため、当時はてっきり関西と関東で呼び方が異なるだけのことかと思っていた時期がありました。
現に、これらの言葉は医学用語ではなく俗語ですので、厳格にいうと定義はありません。
まぁ、自分が耳にした方の言葉が正しかったかどうかはさておき、その後色々と皮膚について知識を深めていくと、きちんと医学的に違いがあるということなのです。
つまり、鳥肌・鮫肌とそれぞれに皮膚の病状を表しています。
ようやくいつもの記事らしくなってきましたね(笑)
鮫肌とは
上で述べた鮫肌のお話で、突発的に起きた状態ではないイメージと書きました。
実はこの想像通り、鮫肌は遺伝の要素が大きいのです。
多くは腕や足の外側で、いわゆる上腕の外側、大腿の伸側、他には頬にできることもありますね。
正式には「毛孔性苔癬(モウコウタイセン)」と呼ばれています。
病名は皮膚の症状を表していて、苔のように毛穴がブツブツしていることで鮫肌と言われるのだそうです。
このブツブツは湿疹ではありませんので、痒くなることはなくブツブツザラついているだけの状態です。
この毛孔性苔癬は思春期までに強く発症し、歳とともに解決していくとされています。
で、先に述べたようにこの毛孔性苔癬は遺伝性で、親御さんが患った経験があると子どもに遺伝しやすいと言われています。
子供の皮膚がザラザラしていて気掛かりかと思いますが、この病状ならば大人になるにつれ改善されていきますので、あまり気にされないで良いかと思います。
痒みを伴わないことが特徴と、覚えておきましょう。
そして鳥肌
鮫肌と似ていますが、専門的には異なる病状です。
鳥肌と呼ばれる病状も毛穴に出ますのでブツブツが鮫肌に似ていますが、アトピーや乾燥肌でよく出る症状のことで、全身のどこにでも出来る可能性がある点が異なります。
そして何よりの違いは原因で、これは湿疹が起きている状態を表しています。
つまり痒みがありますので、ここが大きな違いになります。
アトピーや湿疹を鮫肌とした解説されていることを見掛けますが、間違っていますので誤解のないようにしましょう。
きちんと治療しないとひどくなりますので、ご注意を。
今回の話題は化粧品とは直接関係ありませんでしたが、お子さんの肌に起きている病状を勘違いして見逃してしまうことがありますので、とりあげてみました。
言葉の使い方の違いだけで病状を勘違いすることはないとは思いますが、今回は知恵袋的なお話でした。
自分自身も子供の頃は何が起きているのかよく分かりませんでしたので、対処が遅くなったかもしれませんね。
参考になればと思います。
ではまた次週。
by.美里 康人