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アミノセラミドと細胞間脂質

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美里康人
疑似セラミドアミノセラミドと呼ばれる成分

なぜそう呼ばれるのだろうか?

 

今週もまたまた1日遅れてしまい、もう木曜日にまでズレこんでしまいましたね・・・。
なんとか来週からはいつもの月曜日アップに戻したいと思ってはいますが、本当に大丈夫なのでしょうか(苦笑)
もう歳だから???
いやはや、なんとも自虐なネタから入ってしまいましたが、今週も早速お題のスタートです。

さて、ここ数年でヒト型セラミドが再燃していますが、隠れた存在としてアミノセラミドとも称される疑似セラミドをよく見かけます。
アミノ酸から作られるセラミド類似成分ですが、時には合成セラミドと揶揄されてヒト型セラミドの影の存在となっている感があります。

しかしながらこの成分、おそらくまだ化粧品業界ではしっかりとスキンケアに活用されていないと感じます。
今回は、その潜在能力について触れてみようと思います。
ちなみに自分的には、今一番ホットな成分ではないかと思っております。

なぜ疑似セラミドなのか

まずこの成分、アミノ酸由来ということで、私たち化粧品業界には味の素社から供給されています。
ですので、純国産原料。

原料名は『エルデュウPS-203』

全成分の名称は以下になります。

ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)

おそらくユーザーの皆さんも、どこかで目にはしたことがあるのではないでしょうか。

   ーー覚えられないほど長ったらしく、カタカナばかりで合成成分にしか見えない

まぁ、おっしゃりたいことはよく分かります。
私も覚えるのにだいぶと時間を要しました(笑)
まぁでも、せめて原料名だけでも覚えて頂いて、決して損はしない成分ですよ。

とはいえ、原料名を書かれても、ユーザーの皆さんはほとんど耳にされたことはないでしょう。
しかしながら私たちの業界では、ずいぶんと以前からよく知られた素材です。
そのままでは水に溶けませんので、一般的には油剤、つまりオイル成分ということになっています。

とはいえ、この成分がなぜ疑似セラミドと呼ばれているのかは、わりと知られていません。
こういった「疑似」といわれる素材の場合、大抵は化学構造が類似していることがほとんどなのですが、この素材の場合はそうではなく、セラミドを中心とした皮膚の細胞間脂質のラメラ構造と同じように、液晶ラメラを形成する性質が非常に似ているということで、こうした位置づけになっているというわけです。

「ラメラ構造」という言葉はよくご存じないかと思いますが、いわばミルフィーユのように水と脂質とセラミドが層状になる構造のことを総じてこう呼ばれていて、ある条件を与えてあげるとこれとよく似た構造を形成すると考えればよいでしょう。

ラメラ構造の図式は花王さんの細胞間脂質のHPにも掲載されている通り、セラミドが何重にも折り重なった例の絵を思い浮かべて頂ければよいかと思います。
こちらのブログでも、セラミドの説明の時に図にして掲載しています。

こうして説明していくと、本当のセラミドとはカタチも違うといった異論も出てくるかもしれません。
確かに製法は合成で作られていはいますが、使われている素材はアミノセラミドとも呼ばれる通りアミノ酸を中心に、植物由来の成分同士をくっつけてありますので、天然由来の素材です。

なによりこの原料を疑似セラミドと並べる理由は、そのセラミドにも負けじと劣らない「包水力」、つまりは水を抱え込むパワーにあります。
普通のオイル成分と違って水になじみやすい部分を持っていますので、ここにくっついた水分を維持して話さない性能を有していることから、セラミドと同等かそれ以上の保湿性能を発揮してくれるというのがその理由のひとつです。

活用すべきは

ということでこの素材の説明をここまでしてきましたが、これをただ単に「アミノセラミド」「疑似セラミド」として化粧品に配合するだけでは非常につまらないですね。
まぁ、もちろん化粧品メーカーさんや販売を担っておられるお立場の方々はうたい文句にもなりますから、それはそれで良いことではあるのですが、それでは皮膚への効果の本質を追求したスキンケアコスメにはなりません。
単なる保湿成分になってしまいますし、もっといえば宣伝のためのうたい文句成分ということにもなり兼ねません。
油剤としてはコストも安くありませんので、見ている限りではほとんどの化粧品メーカーさんは微量しか配合されておられないようですし。

というのも上でも書いた通り、この素材の本来の性質は「ラメラ液晶」を形成してくれることにあるはずですね。
原料メーカーさんもここをアピールしているわけですし。
しっかりとラメラを形成させてこの素材の劇的な包水力を取り入れることができれば、素晴らしいスキンケアが達成できるはずです。
大手ブランドさんを含め、技術者の方たちはその性能と性質にしっかりと気付いているのですし。

最近ではちょくちょく「ラメラコスメ」なんて言葉も使われるようになっているようですし、本当の意味でこの性質を製剤中に取り入れ、細胞間脂質と同様の機能を持たせた皮膚を再現するかのようなコスメが出てきても良いはずと思うのです。

現に、「ラメラ」と入力してgoogle先生に聞いてみます。
それが表題のキャッチ画像にも使用している結果ですが、トップページからズラズラと細胞間脂質のラメラ構造を改善する化粧品HPの説明画像が並びます。
これだけスキンケアにとって重要な課題ということになります。
でもいずれのHPを拝見しても、どういったメカニズムでこの欠損したラメラ構造を補う、もしくは修復するのかまでは言及されていません。
「ここをケアする」とは書かれていますが。

ということでこの素材には、こういったメカニズムを補う潜在能力があるわけですが、ここにはこの素材が開発された経緯に秘密があります。
実はこの素材、味の素さんが開発したのではありません。
そこに秘密が隠されているのですが、当の原料メーカーさんには許可を取っていないのでメーカーさんは明かせませんが、リポソームや細胞間脂質の研究開発としてはかなり有名な原料会社さんですので、ここに開発に取り組まれた意図のルーツがあります。
ですので、ここをしっかりと理解した上でスキンケアに取り入れなければ、素材として活かしたことにはなりません。

ただ単に「疑似セラミド」というだけではダメですし、なによりもったいないんです。

実際に特許を検索していくと、この素材のラメラ形成の性質を生かした乳化技術の特許もかなり出されています。
でも、まだ実際に化粧品として商品化されたものを見たことがありませんし、その性能をフルに生かしたコスメを目にしていません。

細胞間脂質

難しさ

とまぁ、ここまでこの素材の面白さをお伝えしてきましたが、なかなかこの素材の性能をフル活用したコスメが世に頭角を現さない理由もわかります。

SNSでも話題の美容家で、美容科学ラボ運営*の【かおり】さんもtwitterでつぶやいておられましたが、化粧品技術者団体「SCCJ(化粧品技術者会)」主催の研究討論会でも、花王さん<角層高浸透を実現する疑似セラミド液晶化製剤の開発>というお題の論文を発表し、最優秀論文賞に選出されています。
 *美容科学ラボHP→https://rikei-biyouka.com/profile/

とまぁ、私たち技術者にとっては、これ位難易度の高い製剤課題を持っているというわけです。
ひとつには上でも書いたようにこの素材はあくまで油剤で水に溶けませんので、どうしても採用するアイテムは乳液やクリームのような乳化系の製品になります。
となると、一般的な技術者であれば界面活性剤を使用して配合するというストーリーになってしまいますので、そうなると普通のエマルジョン、つまりクリームや乳液になってしまいますね。

実際に特許を読み込んでいっても、ほとんどがポリマーや界面活性剤を併用して設計されていますので、それでは本来の性質をいかしたことになりません。
なにより、ラメラとなって本当に細胞間脂質のところに届くとも思えません。

それは不可能なのでしょうか?

いやいや、それぞれの特許をお出しになっているメーカーさんの内容をみていると、それぞれに自分が経験したことや実験の結果のみを中心にストーリーを思い描かれていて、互いの利点や経験則と照らしているとは思えません。
いわば、それぞれの実験の結果を総合して組み立てることができれば、達成されるように感じてなりません。

そして当然それは一部のメーカーさんも触れておられるように、ヒト型セラミドとを組み合わせることで実現が可能になるように思います。
それが皮膚本来の細胞間脂質の再現でもあるわけですし。

まぁ、コストはめちゃくちゃお高くなりますし、なによりそんなにコストをかけてまで開発に時間をかける意義もなかなか見いだせないかもしれませんので、「実現」ということになると難しいのかもしれませんが。

ただここで今回締めくくりとして書いておきたいことは、こうした設計を達成することで、花王さんがこれまで取り組んできたアトピー肌や敏感肌のケアが、真の意味で達成される可能性が非常に高いという点でしょうか。

ノウハウですのであまり多くは書けませんが、実際に私たちの研究では、しっかりと成果が出ていることを最後にお伝えして終わりにしたいと思います。
立場的に、お仕事の依頼を頂いたメーカーさんの方々だけにはお伝えしたいと思っています。

なかなか化粧品では効能が謳えないため、販売されるお立場の方々にはおいしい話ではないかもしれませんが、本当にお困りのユーザーさんはたくさんおられるはずですので、なんとか真の意味でいいスキンケアコスメの開発に至るキッカケになればよいなと思う次第です。

ではまた次週。

by.美里 康人

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