美里康人
合成ポリマーを避けたい方の検索方法
新年スペシャル後編の今回は、合成ポリマーを避けたい方のための成分検索方法です。
以前からお伝えしているように、合成ポリマー自体も私達は悪いとも思っていませんし、皮膚に害があるものでもありません。
ただし、化粧品の本質とも言える角質層の深部をしっかり潤したい、はたまた付加価値の高いコスメを使うならばきちんとインナーへの保湿効果を求めたいコスメマニアとなると、ここはこだわりたいポイントでもあるところですね。
ちょっと難易度が高くなりますが、実はそんなに難しいことではないので参考になればと思います。
この記事の目次
合成ポリマーを避けたい理由は何?
最初に少しだけ、合成ポリマーが悪者になっているそのワケについて触れておきましょう。
ユーザーさんの胸の奥にある思いを列記すると、このような理由でしょうか。
1)石油から作られて、お肌に悪いイメージ
2)プラスチックやビニールをお肌にノっけているイメージ
3)お肌の表面に皮膜を作り、浸透が悪いイメージ
1)は、確かにその通りですが、精製技術が高くなった今の化学技術では原油に含まれている低分子成分が残留していることなどほぼあり得ず、お肌に危険な成分などないと考えて良いでしょう。
また2)は大きな誤解で、プラスチックやビニールは水に溶けないポリマー樹脂ですので、水がベースとなっている化粧品に溶ける高分子(ポリマー)はプラスチックなどと全く違い、いわば妄想と言っても良い誤解と言えます。
そして3)。
これについては完全に否定はできず、その傾向はないとは言えません。
もちろん処方設計によってはポリマー成分だけが皮膚上に残留し、その他の保湿成分などは浸透させることも可能ではありますが。
とはいえ、ポリマーを配合せずに設計された乳液やクリームを仮に中立のゼロとしたとすると、やはり合成ポリマーを使って設計された製品は浸透性能面で必ずいくらかのマイナスになると言えます。
非常に感性の優れたユーザーさんならば、使い続けることで皮膜感を感じる声を耳にすることもあります。
また、化粧水から始まって美容液・乳液・クリーム、そして下地や日焼け止めなど全てに合成ポリマーが使われていると“オン アンド オン”になりますので、結果的にポリマーカスとなって出てくることもよくありますし、ここまでくると皮膜感もかなり感じるユーザーさんは多いようです。
まぁ、お肌のことを考えて皮膚の奥にあまり浸透させないコンセプトのコスメもありますし、浸透することが必ずしも良いとは言い切れませんので、自身のスキンケアは何を目指しているのか、判断の材料として頂ければ良いと思います。
合成ポリマーの成分名を知る
さて、いよいよ合成ポリマー成分の名称に入っていきますが、化粧品に使われる合成ポリマーは非常にたくさんの種類があり、なかなかこれを探すのは困難です。
ただ、合成ポリマーに該当する成分には傾向があり、見慣れてくるとソレと分かるようになります。
ですので、それを利用して検索すればよいことになります。
また、主にメイク製品に使われる特有のポリマーもありますので、スキンケアの乳液やクリームならばそれをうまく省くとかなり絞りやすくなります。
ただし今回は防腐剤のように成分が少ないわけではありませんので、段階を踏む必要があります。
というのも、前回も説明したように、避ける方の「含まない」検索は成分名を完璧に入れないといけませんので、どうしても抜けてしまう成分が出てきます。
そこでごく一部の製品にしか使われていないレアな成分は外し、頻繁に使われる成分に絞って検索を掛けていきます。
前回のデータベースサイトを利用し、今度はこのような検索の仕方をしていきます。
少し面倒ですが試してみて下さい。
前編をご覧にならなかった方のために、再度リンクを貼っておきます。
■Cosmetic-Info.jp
https://www.cosmetic-info.jp/index.php
で、今回はこの赤い囲みの部分をきちんと入力、またはチェックボックスにチェックを入れます。
全てしっかりと画像の通りに条件設定をして下さい。
というのも、一箇所でも違っているととんでもない数が出てきたり、全く出てこなかったりしますので、ここは要注意です。
カテゴリーの部分も、乳液・フェイスクリーム・オルインワン化粧品以外にもチェックを入れたくなりますが、そうすると一気に検索数が増えて探すのが大変になりますので、まずは必ずこれだけに絞って下さい。
他のカテゴリーを探したい場合は、個別にそれだけにチェックを入れて検索すれば、絞って探せます。
それはまた応用編で活用されて下さいね。
そして成分名はとりあえずカルボマーだけを入れていますが、赤囲みの+をクリックすれば10個まで成分を増やせますので、以下の10成分をコピペしてひとつひとつ入れて下さい。
一文字でも違うと認識しませんので、手入力は厳禁です。(テキストにしてありますので、コピペ可能です)
カルボマー
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー
アクリレーツコポリマー
ポリアクリルアミド
ポリアクリル酸Na
そして次も大切。 右側のチェックボックスを、画像のように全て「含まない」にすることが鉄則。
ここも間違うととんでもないことになります。
これで下の「この条件で検索」をクリックすればOK。
結果はこちら。
さらに絞り込む
乳液・クリーム・オールインワンで4,500件あり、ここまでで1,400件程度まで絞り込めました。
まだまだかなり多いですが、これでも乳液やクリームの1/3程度まで絞れています。
本来ならこれで完結できれば良いのですが、この検索機能は10成分しか条件を設定できませんので、まだこれでもその他の合成ポリマーが含まれてしまいます。
おそらくこの1400品の中のまだ2/3程度は他の合成ポリマーが含まれていたり、はたまたカテゴリー違いの美容液といった製品も含まれています。
ここからは自分で異なるカテゴリーの製品(製品名の右横にカテゴリーが明記されています)を排除したり、製品名をクリックして全成分から成分名を見て絞り込んでいけば完璧になります。
合成ポリマーに必ず含まれているキーワードは、こちらの4つ。
・~アクリ~
・~ポリマー~
・~セルロース~
たったこの3つのキーワードですが、これに「カルボマー」を加えて探せばほとんどの合成ポリマーがみつけ出すことができます。
自分のお気に入りコスメの全成分をみて見極める時も、この4つのキーワードが入っていないかをみればほぼ完璧に合成ポリマーが配合されていないコスメに出会えます。
というわけで今回のスペシャル記事はここまでですが、この検索機能は他にも色々と使えますね。
例えばビミタンC誘導体が配合されたコスメといった場合も、こちらのブログではビタミンC誘導体の成分名称なども列記してきましたのでこれで簡単に探せますし、全成分をみれば並び順から配合量が多そうかどうかも見極めが可能になります。
まぁ、とはいえまだまだこちらのサイトに登録されていない製品は市場に山ほどありますので、上のキーワードも一緒に活用頂くことでコスメジプシーから脱却できるキッカケになれば幸いです。
次週はいつもの記事に戻ります。
ではでは。
by.美里 康人
こんにちは。
記事のポリマー成分から外れてしまうので恐縮なんですが。成分分野ということでご容赦を。
ネットサーフィンしているといつも気になるのが、ネット広告とYouTube動画。
1)YouTube動画の「ビタミンC濃度、測ってみたテスト」で気になること。もしかしたら何年か前の記事でぼやかれていたかもしれませんが(-_-;)ビタミンC配合を謳っている商品を塩素水やヨード水溶液に滴下して、色が消えたらビタミンCが一定数値配合されている、というテストですが、これビタミンCを十把一絡げにしてしまっていて残念です。色々種類があるのに。
ここから名称をWikipediaやCosmetic-Info.jpに頼って英語化しますが(笑)一番有名なビタミンC(Ascorbic acid)はL-Ascorbic acidで、主にこの数値が検出されていると思いますが、誘導体(Vitamin C Derivatives)配合製品の濃度テストの正確性は大いに疑問。
①水溶性のSodium ascorbyl phosphate (SAP) , Magnesium ascorbyl phosphate (MAP) , Ascorbyl glucoside (AA-2G) , 3-O-Ethyl Ascorbic Acidあたりは水溶性ですが、そのままでは誘導体だけど、本当に正確?建前としては角質層付近でビタミンCに変換されるのではなかったでしょうか?
②油溶性のAscorbyl tetraisopalmitate (VC-IP) , Ascorbyl palmitate (AA-PAL) , Ascorbyl Stearateなどは水に溶けないから計測できるわけないと思う。
③両親媒性のAscorbyl 2-phosphate 6-palmitate (APPS) , Caprylyl 2-Glyceryl Ascorbate(GO-VC)は水溶性部分は反応しそうな気がするけど、油溶性部分は?これも大いに疑問。
私見:L-Ascorbic acid(巷でいうピュアビタミンC)の濃度のチェックは正確。後は疑問が多いに残る。その上ピュアビタミンCはとても不安定で刺激がある。
K国コスメのピュアビタミンC信者が段々と増えてきたような。成分が安価だから?
2)ウザいネット広告①「これを塗れば(すれば)毛穴の角栓がなくなる」無くなるわけないじゃないの。取ったそばからまた溜まっていく。「ウン数年熟成の角栓が出てくる」角栓は年単位で熟成するわけない。皮膚のターンオーバーは長くても3カ月、年単位は流石に言い過ぎ。毎日ちょっと減ってはちょっと増えるの繰り返し。
広告の商品を買うよりも、お風呂で軽くオイルマッサージして溶かす&浮き上がらせるか、週に一度コスメティックグレードのクレイパウダーを水で練って、脂分を吸い出した方が余程タイム&コストパフォーマンスが高いと思います。やりすぎ注意ですが。
3)ウザいネット広告②「これを塗れば(すれば)シミが消える」レーザー治療か皮膚科処方のハイドロキノンとトレチノインを塗るのなら消えると思います。肝斑ならトラネキサム酸内服。消えたように感じるのは一過性の色素沈着ではないのかな?
「市販品ではないので効きます」という文言。「医薬部外品」は市販品ではないらしい。半分正解で半分欺瞞、言葉の綾のような。「医薬部外品」も店頭でで処方箋なしで買えますが。「市販品」の方が濃度が高い商品もある謎。市販の意味とは何ぞや。TV出演の皮膚科医開発と権威付けしたら、迂闊な人は信じてしまいそう。
動画でクリームを塗ったあと、綿棒でこするとシミが剥がれるのはフェイク画像では?「重曹」と「ひまし油」を混ぜてペーストにして塗る方や「イボコロリ」など、アルカリや酸で皮膚を溶かす手法の方だったら、そういう効果はあるかもしれない。でも顔にやる勇気は出ない。
ああ、大いに「吠えて」しまいました。笑ってください。ご無礼・ご不快があればご容赦ください。その上で正しい知識を教えていただけたら幸いです。
基本的にMake up分野はこれでシミが消える、顔色が良くなる、たるみが目立たない、魅力が上がると大いに謳ってもいいと思うのですが、Skin care分野はもっと正直であってほしいと願います。
リタイア年ということですが、美里さんの後進のご指導に勝手に期待をしております。
長文駄文失礼いたしました。
ご自愛ください。
>Noah The Catさん
いつもコメント、ありがとうございます。
どこまでツッコんだお返事をしようかかなり悩みましたが、ここでは軽いジャブにしておこうと思いました。
1)ああいう事を拡散する事で、プロの方から引かれるてしまう事を頭に置かれいないのでしょう。
実際、裏側の技術者の間では不評が広まっている事をご存知ないのが、イタいです。
まぁ、お商売のターゲットをシロウトユーザーさんに絞っているので、関係ないんでしょうが。
2)角栓については、「抜けた後」が大切な事に気づいて欲しいですね。
物理的に「抜く」だけなら、例の強烈なピールオフパックがベストだったわけですから。
意味がない事が分かって市場から消えた事を忘れないで頂きたいところです。
3)市販品を対比させているのは、メディカルルートで手に入るシューティカルアイテムの事を指しているのでしょうね。
メディカルな世界ではトラブルもかなり発生している事を知っておいて頂きたいと思っています。
ドクターが治療しているので表沙汰になっていないだけの事で。