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「化粧品〇定」って、現場で役に立つの?

「協会ビジネス」という言葉はご存じでしょうか?

唐突な切り出しですが
思わずそんな言葉が口を突いて出てくる
そんな美容業界の不平不満話を
今回は記事にしてみます。

こんにちは、美里です。

「協会ビジネス」とは皆さんもご承知の通り
民間企業が事業として運用する協会のことで
公的機関、もしくはそこから委託して運営されている
公益性のある協会とは全く意味が異なります。

例えば、公益の財団法人としては「交通安全協会」
運転免許の更新通知ハガキを送付してくれ
免許証交付のサポートを警察から委託されていますし
安全運転講習なども担う協会として
公益性を基盤に運営されています。

で、対して協会ビジネスとは
こうした、あたかも公益性を有するかに思わせておいて
協会制度をビジネスにつなげることを目的とした
民間企業が起業した協会のことです。

私たちが身を置く美容業界にも
そうした利益を狙った協会がいくつか存在します。

誤解のないように
たとえ公益性がなくても
意味のある団体もあります。

例えば、国家試験として認可されいない
エステテシャンの業界でしょうか。
技術を高めるためや
技術者の技術力統制の目的で立ち上げられた団体もあり
それぞれに資格制度も設けられていて
大きな意味を持ちます。

つまり、その協会を運用する本来の目的は
そのサービスを受ける消費者さんを守るためであることが
大前提ということになります。
でなければ、団体化する意味をなしません。

一例をいえば、国家試験で資格化されている
理美容の資格制度です。

この本来の目的は
消費者が髪トラブルや皮膚トラブルを招かないよう
施術する技術者の技術力を養うためです。
かみそりやハサミといった刃物を使いますので
消費者が安心してサービスを受けるために必要な技術ですから。

で、そんな目的のための協会ですが
今回、明らかな利益を狙った協会ビジネスとしてとりあげたいのが

「化粧品〇定協会」

お付き合いのある企業さんでも
協賛企業さんとして名を連ねられておられたり
お得意先企業の担当者の方々なども
資格を取得されておられるのですが
これを運用している企業
そして検定制度として運用されている内容に対して
苦言を提したいのです。

なぜなら、上で書いたように協会の目的は
「消費者を守るため」
つまり、エンドユーザーのためでなければならないからです。

そういう観点で、この協会と資格制度の内容を精査すると
この化粧品業界の生産者や開発者といった技術者の方々
それから販社さんを含むメーカーさん
そして、資格を持つべき技術者の人たちにとって
なんの知識にも技術力の向上にもならない内容だからです。

もっといえば、美容業界の華やかな世界を夢見る人たちに優しそうな
そして、おもしろ楽しいことにスポットをあてて
それをあたかも「技術」であるかのように錯覚させる
そんなストーリーのもとに構築されたシステムだからです。

それは結果として
エンドユーザーである消費者さんに、より良いサービス提供
そして、商品提供のなんら役に立たない内容
だからです。

ぶっちゃけ、業界技術者の方々は
全く興味も示しませんでした。
あまりに中身が薄っぺら過ぎて
全く業界企業の人材雇用や育成の役に立たないからです。

内容の熟成度がよく分からない周りの販社さん
そして、中小メーカーの企画職の方々が
自らの知識・専門性を高めたいとの純粋な想いで
意欲的に資格を取得され
こうした方々から評価を聞くにつけ
そのひどさ加減が露呈してきています。

経験者の方々から
口々に出てくる言葉は以下です。

「業界人として、なんの勉強にもならなかった・・・。」
「テキストがマンガばかりで、薬機法や化学にも触れず、知識にもならない・・・。」

またその評価は
少し知識をお持ちの方々の書評(レビュー)にも表れていましたね。
「難し過ぎて困った・・・。」というのなら
レベルが高いということなのでまだしも・・・と感じますが(苦笑)

確かに、その中のお一人に
テキストを拝見させて頂きましたが
どうみても「美容読本」か
「読みモノ」
でしかない代物でした。

そして、なにより許せないのは
協会サイトに踊るこの文字です。

「文科省後援」!!!!

これはもう、あり得ません。

もし本当だとしたら
文科省にモノ言いを突き付けてやりたい。

化粧品・美容のことを学ぶのに
まずは必須としなければらないのは
薬機法・皮膚科学・化学

最低でもこの3つは、基本を知らないと話になりません。

もちろん、学問として深い知識は必要としませんが
化粧品にかかわる部分だけはきちんと基礎を知らなければなりません。

でないと、化粧品がどうやって作られているのか
どういった法律に基いて作られ、売られているのか
どういった使い方で、どういったモノを使うとトラブルになるのか

なんの職務基盤にもなりませんし
もちろん、全成分をみて成分のことを読み解くことなどできません。

いえ、これは資格を取ろうとしている側にとっての問題ではなく
有資格者の方からアドバイスを受けたり
そしてサービスを受ける消費者さん側にとって
信頼のおける業界にならないことが、もっとも大きな問題です。

これでは、結局のところ
企業の商売ツールのひとつでしかありません。

ちなみに、似たような協会に「化粧品成分検定協会」なる団体があり
「化粧品成分検定」という制度が設けられています。

こちらも同様に民間の協会ですが
具体的に化粧品の成分や中身の知識を得るためですから
難易度・レベルは高いですね。

例題がサイトに掲載されていますが
私も少しの間、頭をひねる時間が必要でした(苦笑)

化粧品成分検定2級凡例

でも、このレベルなら
必ず美容業界の就職に役立つでしょうし
真の意味で、知識の必要性が精査されていると感じます。

とにかく、文部科学省さんに言いたい。
今や業界では
「香粧品科学」という
独立した学問を確立する必要性があるという動きになっていますし
すでに学部として設立された大学がいくつもあります。
そしてその学問に必要とされる教科書の確立が
急務になっています。

その学問の内容と、この検定の内容とが
あまりにもかけ離れている現状を直視して欲しいと思います。

消費者の方々を皮膚健康被害から守るためには
業界全体の知力向上が急務
です。

すでにHPで公開されている「集客数」(企業協賛金を含む)から簡単に試算しても
ゆうに300億円以上を荒稼ぎしています。

大手ブランドが一切名を連ねていないことから分かる通り
業界裏では「協会ビジネス」どころか
「協会詐欺」とも囁かれています。

この業界のあらゆる職務に携わるみんなが
胸を張って業界人といえる
そんな熟成した美容業界になれば良いなと思います。

それが、真の意味でエンドユーザーさんにとって
信頼のおけるサービスになり得ると感じます。

世代交代がすでに始まっている今
まやかしを好まない、本当に意欲のある若い人たちが
しっかりと育って頂くことに期待しています。

by.美里 康人

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