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ビタミンC誘導体の総括 2011年版 その1

ビタミンCのお話

これまで、化粧品業界における美白成分
「ビタミンC誘導体」について
過去の歴史などを綴ってきました。

情けないほどの文才のなさに加え
雑多な書き方で理解しにくかったかもしれませんが
多少なりともビタミンC誘導体の歴史が
垣間見えましたでしょうか?

さて、ここまで綴ってきた内容は
おもにここ数十年の歴史を中心に
お話を進めてきましたので
ここ2~3年の間に動きのあった新展開については
触れてきていません。

そこで、年の瀬も押し迫った事もあり
新たな展開を見せたビタミンC誘導体に関して
2011年の総括という事でまとめてみたいと思います。

* * *

1.油溶性ビタミンC誘導体

これまでのお話は
どちらかというと化粧水などにも容易に使える
「水溶性ビタミンC誘導体」が中心になっています。

確かに製剤のしやすさから言うと
水溶性素材の方が使いやすいという利点があります。

ただ、ヒトの皮膚というのは
バリア層が細胞間脂質で埋められているために
基本的に水性成分は
皮膚内部に入り込めない構造になっている事は
皆さんもご承知かと思います。

という事は
どちらかというと皮膚内浸透という意味では
油性成分の方が有利である事は当然の理。
そういう意味で
油溶性ビタミンC誘導体も見逃してはならない存在です。

そこで
油溶性ビタミンCにカテゴライズされる誘導体の
最近の動向について、少し触れておきましょう。

■テトラヘキシルデカン酸アスコルビル

この素材の歴史は意外と古く
業界に投入されて数十年に上ります。

ただ、油溶性である事から
使用感的にアブラ特有のベタつきがある事。
液状素材であるために
原料そのものの酸化安定性がよくない事。
加えて油性分ゆえに
化粧水などの水ベース処方には
活用しにくい事などが難点としてあげられ
クリームや乳液といった商品にのみ
展開されてきました。

また、この素材が汎用的に使われる事が少なかった大きな要因として
「美白有効成分」としては承認が得られていなかった事が
あげられます。

この素材、ブログでは
皮膚内に浸透した後のビタミンCへの分解が
精査できていないという問題点も掲載しましたが
臨床試験ではニキビにも効果が高いという
データが得られている事もあり
根強い原料となっています。

さてこの素材
実は3年前にようやく医薬部外品の美白有効成分として
厚労省から承認が得られ
長年待ちに待った日の目がみれるようになった事は
意外と知られていません。

原料の開発メーカーとしては
それまではあくまでも化粧品として
しかも、「美白」という効能は謳えず
ジレンマを抱えていたわけですから
この承認は一大ターニングポイントだったはず。

もちろん
それには億単位の費用も掛かっているわけで
社運を掛けた事業だったと言っても過言ではありません。

しかしながらこの素材
その後3年を経過しても
相変わらず目立った使用例は見受けられません。

承認までに7年以上もの歳月を経過した事で
時代の流れが変わってしまったのかもしれませんね。

折しも「ビタミンC誘導体」を全体としてみると
この後に取り上げるここ数年の変革が
大きな影響を与えたのでしょう。

このお話は、後日に続きます。

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