前回予告したとおり
このシリーズでは、私が過去に携わった
コスメ業界で話題の成分やコスメについて
誰も書かなかった開発秘話
そして苦労話などを織り交ぜ
自伝形式でお話を進めてまいります。
もちろん、皆さんが商品を購買する上で
必ず参考となるなるほど話もたくさん盛り込んでいきますので
一話たりともお見逃しなく。
第一話 美白の主役【ビタミンC】秘話01
一話目は皆さんもよくご存知
美白の定番とも言うべきビタミンCです。
美白成分という事で
お決まりのお肌への有効性や、美白のメカニズム・・・
なんて難しいお話は
インターネットでちょっと調べれば
いくらでも出てきますのでそちらをご覧頂くとして
このメルマガは誰も書かなかった秘話話がウリ。
全く異なる切り口の裏話へと展開していきましょう。
* * *
さて、この先のお話が分かりやすくなるよう
最初に少しビタミンCについての
前置きへと進みます。
ビタミンCという言葉は非常によく使われ
一見なんでもない成分名のようですが
実は化粧品に使われるものは
非常にいわくつきの成分なんですね。
そこでまず最初に
その成分名称について明確にしておきましょう。
通常、ビタミンCと単純に呼ばれるものは
化学名における「アスコルビン酸」に該当し
その状態は粉です。
「酸」とついていますので
すっぱい味を持つ酢(酢酸)や
クエン酸と同様に酸になります。
ですので、ビタミンCは舐めると大変すっぱい味がしますし
レモンなどのかんきつ類に多く含まれるのも
意味が分かりますね。
で、酸というだけにそのpHは大変低く
水に溶かすと2~3といった数値になります。
これだけ低いpHですから当然の事ですが
濃い水溶液が目に入ったりすると
飛び上がる程痛いですし
お肌の傷があるところに塗布したりすると
ピリピリと痛みを感じます。
という事で
一般的に「生のビタミンC」と呼ばれるアスコルビン酸は
錠剤で飲んだり食べたりして口から摂取する分には
「酸っぱいっ!!」だけで済みますが
お肌に塗布するとなると少々問題ありです。
実は、ここに今回の
『化粧品に配合するにはいわくつき』と書いた問題が
潜んでいるわけです。
ではなぜこれが問題なのか?
そのままのビタミンCを濃い濃度で直接塗布すると
上で書いたように
お肌に刺激があるという問題もそうですが
実は「酸」の状態でいることが大きな問題なのです。
つまり酸の状態でいるという事は
「化学反応が非常に起きやすい」
という事に繋がるからです。
そうです、お肌に塗布しても皮膚の中に入る前
そしてもっと言うと
化粧水の中にいる時点で
何かとすぐに反応してしまうという事。
かといって
この化学反応である「還元反応」がお肌の中で発揮されることで
メラニンを退治して美白作用に繋がるわけですから
先に反応を終えてしまうと
効果がまったくなくなる事になります。
つまりは、諸刃の刃。
ビタミンCが反応してしまう相手とは
水分がある状態での酸素であったり
金属イオンであったり
はたまたタンパク質であったりと
常に何かと反応したくてウズウズしている状態だと
思ってもらえれば良いでしょう。
はてさて
では、ビタミンCを開発している原料メーカー
そして化粧品研究者は
これをどうやって解決したのでしょうか?
次回に続きます。