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賢く日焼け止めを選ぶ その2

とうとう日本でも
40℃を超える灼熱の気温が今年は記録されています。
例年なら寝る時にエアコンはあり得なかったですが
ここ数日は朝方までかけっ放しが続く美里です。

こんにちは!

早速前回「賢く日焼け止めを選ぶ その1」からの続きで、日焼け止めのお話しです。

前回、日焼け止めの商品をタイプ別に分類しました。
それぞれの特長と留意点などを説明していきましょう。

既によくご存じのユーザーさんがおられれば
まこと申し訳なく思いますが
昨今の業界裏事情や
ワールドワイドな動向なども織り交ぜていきますので
最後まで読んで頂ければ幸いです。

また、できるだけ私的な論評は控えておきます。
それぞれの良し悪しについては
特長をよく理解した上で
個々人の皆さんの好みで
使い分けをして頂ければと思います。

まず最初は【ノンケミカル】と呼ばれる
紫外線吸収剤を配合していないタイプの日焼け止め

紫外線吸収剤は有機合成原料ですので
皮膚の中に吸収されて悪さをするのじゃないか?と
そんな悪評が広がって配合しない商品が
世に出まわってきたという歴史があります。

では、ならばどういった素材で紫外線を防いでいるのでしょう?

これは既にご存知の方も多いかと思います。
以下の2点です。

・酸化チタン
・酸化亜鉛

なんだか金属の名前がついていますが
それはその通りで
金属のチタンと亜鉛を酸化させ
細かい粒子に砕いたモノと考えれば良いでしょう。

双方ともに光の屈折率が非常に高いため
紫外線を散乱させる機能を活用しているというメカニズムになります。

ちなみに、絵の具の白色は
この酸化チタンや酸化亜鉛を液に分散させて練り上げたものです。

元の原料そのものは非常に細かく粉砕されているので
素材そのものは白い粉です。
顕微鏡で拡大して見るとこんな感じ。

酸化チタン
出典:岩瀬コスファ株式会社

これは微粒子の酸化チタンなので
100ナノクラスの粒子のかなり細かいものです。

と、ここで「微粒子」という言葉が出てきましたね。

実は、それぞれに粒子の大きさが異なる素材があり
業界的には別の原料として扱われています。

なぜなら、実際に化粧品に使われる場合には
全く異なる性質を持つためです。

例えば酸化チタンの場合
ファンデーションなどの肌を白く見せるための素材としては
絵の具のように粒子の大きなモノを使って
白色を強調します。

一方で、日焼け止めの素材として使う場合は
お肌に塗布して白くなるとまるで歌舞伎役者みたくなってしまうので
粒子の非常に細かい
ナノサイズの酸化チタンを使います。
ここまで細かくすると、ほぼほぼ透明にまで行きつきます。

酸化亜鉛も同様で
粒子の大きなものはニキビ予防や
デオドラントパウダーといった
皮脂を吸収する素材に使われますが
日焼け止めには透明性の高い微粒子がよく使われます。

また、いずれも微粒子にする事で表面積は大きくなり
紫外線を散乱させる性能もうんと高まるのですね。

ただし双方ともに表示名称上は同じなので
成分名からはそのサイズは判断できません。
※医薬部外品の場合、微粒子の酸化チタンは「微粒子酸化チタン」となります。

さて、ここで疑問
なぜ二種類なのでしょう?

それは、酸化チタンはどちらかというと散乱波長がUV-B領域に偏り
酸化亜鉛はUV-A波も広く散乱してくれるという
それぞれに波長の性質を持つためです。

なので、SPF値とPAをバランスよくレイアウトするために
双方をバランスして配合するというわけです。
また、それによって配合量も少なく設計できます。

とはいえ、一般的に皆さんが日焼け止めとして求める品質
SPFならば30
PAならば++以上
でしょうか。

こうなると、どうしても金属の細かい粉を皮膚に塗りつけた感触
いわば「ギシギシ・・・」感
そしてこれに水が加わると「ネットリ・・・」
非常に違和感を感じるテクスチュアになってしまいますね。

皆さん、買われた日焼け止め商品に対して
必ずこのジレンマにぶち当たっている事でしょう。

しかし、これは致し方ありません。
この数値をたたき出すには
最低でも両方を足して10%以上は配合しないと
この散乱能を得られないためです。

日焼け止め効果が得られなければ
商品として価値がないのでここは仕方のないところですね。

つまり、これがこの【ノンケミカル】タイプの弱点でありジレンマです。

他にも、微粒子とはいえ細かい金属の粉ですので
これが毛穴に詰まる事で
白ニキビができやすい毛穴トラブル体質の方もおられます。

あとは、金属アレルギー
これも見過ごすわけにはいきません。

「チタンは金属アレルギー、ないでしょ!」

どこからか聞こえてきました(笑)

もちろん、金属の中ではかなり少ない方ではあります。
とはいえ、皆無というわけではありませんよ。

だって私、チタンアレルギー持ちですから
生き証人です(笑)

まー、ほんとに困った体質のおやぢですねぇ・・・。
自分でも情けなくなります(苦笑)

そして!
この【ノンケミカル】タイプの日焼け止めに
衝撃の海外動向が大きな影を落としています。
近い将来、大きな変革が起きる可能性があるのです。

この話題は、まとめとしてこの項の最後に書かせて頂く事としましょう。

次回は【ケミカル】タイプの説明になります。
ではでは。

by.美里 康人

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