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皮膚の専門家による抗議とステロイド薬の是非

仰天ニュースへの抗議

時々、どこからともなく浮上する「ステロイド不要論」ですが、またまたそんな話題がお茶の間に登場したようです。

「ザ!世界仰天ニュース」への抗議について

2021年9月7日に放送された日本テレビの「ザ!世界仰天ニュース」の放送内容を受けて、
日本皮膚科学会をはじめとする7つの皮膚の専門家団体が、抗議文を出しました。

日本皮膚科学会

「ザ!世界仰天ニュース」への抗議文

https://www.dermatol.or.jp/modules/publicnews/index.php?content_id=12

抗議の詳しい内容は、上記URLからご確認いただけるのですが、
「ひどい肌荒れがまさかの方法で回復」という放送内容の中で、
「ステロイドは本来体内で作られるが、ステロイド薬の使い過ぎにより体内でステロイドが作られなくなった。」とか、
「再び体内で作られるようにするには、ステロイド薬を断つしかない」といった、
科学的に明らかに根拠のない内容が、患者さんへの悪影響が懸念されるというものでした。

過去にも同様のことがあり、治療の現場が大混乱したことを経験されていらっしゃる当事者の方々が
迅速に対応された結果が「抗議文」となったのでしょう。

抗議文を出した団体について

今回の抗議文を出した団体は、下記の7団体です。
各団体のwebサイトから、簡単な「団体紹介」としてまとめてみました。

公益社団法人日本皮膚科学会
1900年(明治33年)に創設され、皮膚科学に関する研究・教育と医療の連携を図り、皮膚科学の進歩・普及に貢献することを目的とした団体です。

一般社団法人日本アレルギー学会
1952年(昭和27年)に設立され、アレルギーおよび臨床免疫を共通の研究テーマとしている基礎医学者及び臨床医より構成されている団体です。

日本臨床皮膚科医会
皮膚科を専門とする臨床医の集まりとして1984年に設立され、皮膚の健康と皮膚疾患についての正しい知識の普及や皮膚科専門医療に対する理解を深めるための啓発活動を行っている団体です。

一般社団法人日本皮膚免疫アレルギー学会
「抗原研究会」、「中部パッチテスト研究班」、「皮膚脈管懇話会」を前身に、2017年に統合・発足し、皮膚アレルギー疾患を対象とする団体です。

一般社団法人日本小児アレルギー学会
1966年(昭和41年)に設立され、小児アレルギーならびにこれに関連する領域の学術、医療の進歩、普及を図り、小児の健康増進に寄与することを目的とする団体です。

日本小児皮膚科学会
1977年(昭和52年)に発足し、小児科医と皮膚科医が、小児の皮膚疾患の病態と治療について研究発表を行い、議論・討論・情報交換し、研鑽を積む場として活動されている団体です。

認定NPO法人日本アレルギー友の会
1969年(昭和44年)に発足し、セルフコントロールをするための情報提供や、ピアカウンセリング(仲間同士の相談)を通じて、喘息やアトピー性皮膚炎で悩む方々を支える患者の会です。

ステロイドとは

ステロイドと聞くと、なんとなく「怖い薬!?」という印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、
そもそも、ステロイドとは、どんなものかご存じでしょうか?

ステロイドは、私たちの体の中にある副腎【ふくじん】という臓器で作られる副腎皮質ホルモンの1つで、このホルモンがもつ作用を薬として応用したものが副腎皮質ステロイド薬(略して「ステロイド薬」と呼ばれる)です。

ステロイドを薬として使用すると、体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑えたりする作用があるため、外用薬(塗り薬)だけでなく内服薬や注射薬などもあり、さまざまな病気の治療に使われています。

ところで、ステロイド薬は、どのくらい種類があるかご存じですか?
「たくさんある」以上の正確な答えは分かりませんが、こんな一覧を見つけました。

gaihi-list

これは、上記で登場した日本アレルギー友の会のサイトにて
アトピー性皮膚炎の主要外皮溶剤一覧として掲載されていたものです。
http://allergy.gr.jp/consult/atopy/about_medicine

アトピーの治療に用いられている主な塗り薬だけでも、こんなにたくさんあるようで、
アトピーじゃない方でも、皮膚トラブルの際に処方されたことがあって、見たことあるという薬も中にはあるかもしれませんね。

なんでこんなにたくさんの種類があるかといえば、「症状に合わせて・・・」ということなのかもしれませんが、
ステロイド薬は、その効果の強弱によって5つのランクに分類されており、
体の部位によって、皮膚からの吸収されやすさ(吸収率)が異なるため、それに応じて使い分けるためでもあります。

効果が出やすい部位に、ものすごく強いステロイドを使えば、それは「危険」になる可能性は高いでしょうが
効果も副作用も熟知された医師や薬剤師の指導の下、正しく使えば、非常にありがたいお薬だと思います。

ステロイド薬だけに限ったことではありませんが、「薬は用法・容量を守って正しく使いましょう!」ですね。

そうそう、ステロイド薬といえば、「リンデロン」という薬品名を聞いたことはありますか?
今春頃だったかなぁ、「リンデロンが薬局で購入できるようになった」という内容のTVCMを見かけたのですが、
シオノギ製薬から「リンデロンVS」が市販薬として発売されています。

https://www.shionogi-hc.co.jp/rinderon.html

こちらのサイトでステロイド薬のことも分かりやすく説明されているので、参考にしてみてください。

皮膚の保湿の要の1つである「セラミド」をはじめ、皮膚科学の最先端の研究は、日進月歩なので、
将来的には、アトピー性皮膚炎に対するステロイド薬以外の治療法も確立される日が来るのかもしれませんが、
現時点で、多くの専門家が危惧するような、安易で偏った報道により、患者さんが不利益を被ることのないよう、私自身も情報と正しく取捨選択できるスキルを身に着けたいものです。

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