美里康人
論より証拠。様々なサイエンス実験を通して、ユーザーには見えない化粧品の中身やスキンケアの真実を明らかに・・・
第3回 pHの希釈実験
実験開始日:2006.11.27
実験内容A
今回は『pHは水で希釈すると中性に近づいていくのか??』という素朴な疑問に対する答えを証明する実験を行っています。
実験方法
実験方法はいたって簡単で、 石鹸やシャンプーなど、pHがアルカリ性の商品を精製水で薄めて測定してみました。実際に髪やお肌で使う時の状態、そして明らかに差が出るはずである状況を想定し、10%に希釈して測定を行いました。
なお、固形石鹸は希釈できないので、手で擦り取ったものを精製水に適量溶解しました。
それでは、検証実験スタート!
目次
実験1 石けん系ボディシャンプー
石けん系ボディシャンプーのpHの希釈実験の結論
pH10.15のボディシャンプーを水で薄めても、pHはほぼ変わらないことが分かります。
実験2 固形石鹸
固形石鹸は希釈できないので、手で擦り取ったものを精製水に適量溶解し、pH測定しています。
固形石鹸のpHの希釈実験の結論
固形石鹸であっても石けん系ボディソープ同様に、使用時程度に水で薄めてもpHは変わらずアルカリであることが分かります。
実験3 シャンプー
石けん系ボディシャンプーのpHの希釈実験の結論
使用商品のpHが予想に反して弱酸性でしたが、仮に酸性側であっても同様に、希釈してもpHはほとんど変化ないことが分かります。
実験内容B
ここで、pHが希釈していく段階でどのように変化していくのか実験を行い、それをグラフにしてみました。
実験4 希釈によるpH変動実験
希釈によるpH変動の結論
やはり、たとえ微々たる濃度であっても、アルカリ性や酸性物質が水に含まれると、その物質のもつpHそのものとほとんど変化ないことが分かります。
それはつまり、pHとは水素イオン「H」(+)と水酸イオン「OH」(-)のバランスを数値で表していることを示しています。
pH7.0というのは、双方のイオンが全く同量で中央値と考えると理解がしやすくなります。
ただ非常に興味深いのは、濃度が薄い方が精製水のもともともつ水素イオン濃度が影響し、含有物質のもつpHが正確に出ずに高い数値を示すことがあることです。
例えば、攪拌によって空気中の二酸化炭素が溶け込み、含有物質の濃度が薄いために二酸化炭素の微々たるイオンが影響してpHが高くなるといった現象です。