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日焼け止めのUVブロック効果

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  • このトピックには7件の返信、1人の参加者があり、最後にbeek laboにより4年前に更新されました。
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  • #823 返信
    beek labo
    キーマスター

      通りすがりさん からの書き込み(旧BBSより)

      お邪魔します^^

      たまたま興味のあるご質問を目にしましたので、参加させてください^^

      この新商品、確かに長波長域紫外線を防御してくれそうですね。
      構造としては、微粒子酸化チタンを、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン・水酸化Al・ステアリン酸で表面処理しています。

      でも、少し待ってください。
      t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンという紫外線吸収剤は、もともと日焼け止めに使用されている、数少ないUV-A吸収剤の一種ですよね?
      そして、B波領域を酸化チタンで処理している…という仕組みだと思えます。
      つまり、コーティング方式を採用した主な理由は、防御可能な波長帯域を広げるためではなく、耐久性などにあったはずだと推測します。

      A波領域の防御に関しては、酸化亜鉛も380nmから吸収できるはずです。富士のこのアイテム以外にも選択肢はあると判断できますので、心配されなくてもよいと思うのですが…。

      いかがでしょうか?

      #824 返信
      美里康人
      キーマスター

        ご質問を拝見するのが遅くなり、まことに申し訳ありませんでした。
        また、通りすがりの方、サポート本当にありがとうございます。

        今回のご質問は、化粧品技術的な内容と解釈し、商品の良し悪しや評価に触れない範疇でお答えさせて頂こうと思います。

        さて、富士フィルムのUVA吸収素材についての新技術ですが、通りすがりの方がお答え下さったように、理論的にはこれまでの紫外線吸収剤や散乱剤が370nm以上の領域を全く防げなかったのでありません。
        ただ、十分ではなかったというだけです。

        なら、この商品の謳っている事はどういう事か、簡単に説明しておきましょう。
        これまでの一般的な技術とともに、以下の資料をみれば理解しやすいかと思います。

        http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0296682_01.pdf

        この度の技術は、ようは今までの素材に特殊な加工を施したものと考えて頂ければ良いかと思います。
        これまでにも、資生堂を始め原料メーカー各社が開発してきたポリマーによる紫外線吸収剤のコーティング技術(紫外線吸収剤が直接皮膚に触れない技術)がありましたが、これはそれをさらに進化させたものと考えると分かりやすいでしょう。
        つまり、これまでのコーティング技術である紫外線吸収剤の表面を覆っているポリマーに、紫外線散乱剤を凝着させたものです。
        なので、基本原則的には全く新しいものではありません。

        しかしながら、この加工を行う事によって紫外線防止効果が格段にあがり、特に370nmより上の領域でそれが顕著に現れたという点が特化したところだと解釈できます。
        おそらく、論理的にどういうメカニズムでこういう現象が起きたかは不明だが、結果的に測定してみればこうなった、という事だと思います。

        でも、化粧品技術の側面から考えると、これは納得のいく現象です。
        紫外線散乱剤の物理的粒子は、とにかくお肌に均一に並ぶ事がもっとも効率よく紫外線を散乱・吸収できる条件です。
        そういう意味において、吸収剤も散乱剤も均一な小さな粒子に揃えてあげる事で皮膚表面にキレイに並び、もっとも効率的に機能するという事になります。
        確かにこれまでの製剤では、いくらナノ粒子に微粒子化されているとはいえ、お肌に塗布した時点では偏りが生じます。
        それをより解決したという点で、納得のいくメカニズムです。

        ただし、この資料にあるデータは機械による測定データですので、果たしてお肌の上で額面通りかどうかは定かではありません。

        以上でお答えになりましたでしょうか。

        #829 返信
        beek labo
        キーマスター

          通りすがりさん からの書き込み(旧BBSより)

          時節柄、日焼け止めは気にしているアイテムなので興味が湧き、ついつい横レスをしてしまいました。アント様、申し訳ございません。
          それにもかかわらず、大変詳細なご説明を頂き、ありがとうございました。

          日焼け止めの処方技術は日進月歩で、10年前と比べて本当に進化しましたね。
          原材料の開発だけでなく、こうした処方技術の進歩で、思わぬ副次的な効果も生まれた…というところなのでしょうか。

          頂いたPDFファイルを元に、富士が使用している原料について更に調べておりましたら、こういうサイトに辿りつきました。

          http://www.tayca.co.jp/products/index.html

          このページ下部「News&Topix」2009/04/28リリースのハイブリッド素材が該当しそうな気がしています。
          スキンケアは、本当に奥深い学問分野ですね…

          #825 返信
          beek labo
          キーマスター

            あんとさん からの書き込み(旧BBSより)

            お話をきくとやっぱりこの製品を継続して使いたいという思いが強くなりました。実際の肌の上でのデータではないとはいえ効果がここまで違うとなると…

            UVBだけでなくUVAからも肌を守ることが重要という話は良く聞きますが、この波長の紫外線防止効果は既製品ではかなり落ちるということを今まで全く知らなかったので、他のメーカーでもこういうコンセプトの製品が出てきてくれると嬉しいのですがなかなか難しいのでしょうか。

            とはいえ大変勉強になりました。
            通りすがり様、美里様ご回答頂きありがとうございました。

            #826 返信
            beek labo
            キーマスター

              部外者さん からの書き込み(旧BBSより)

              370~400nmの紫外線の長波長領域を防ぐことは従来の紫外線吸収剤では難しいとのことですが、間違ってはいないですが、それほどのことではないような気がします。

              従来の有機の紫外線吸収剤では確かにその領域の吸収スペクトルを持つものはあまりないかと思いますが、散乱剤である酸化チタンや酸化亜鉛であれば粒径をコントロールしてやれば(いわゆる微粒子といわれるものよりわずかに大きくする)散乱される光(紫外線)の波長をその領域に持ってくることが可能です。
              (レイリー散乱の波長と粒子径の関係です)

              ただ、この領域がこれまであまりアピールされていない理由が2点ほどあります。

              まず一つ目に透明性の問題です。
              UVA長波長側ということは可視光領域(400~800nm)に近く、その領域の光を吸収・散乱してしまうと、化粧料の透明性を損なうという問題点があります。
              酸化チタンなどの粒径を大きくすると日焼け止め特有の青白さがより悪化します。

              今回の富士フィルムの製品も下地ということで色がついていますし、370~400nmを完全に防ぎつつ透明な日焼け止めタイプはできないということでしょう。

              もう一点は肌への影響です。
              長波長ということはそれだけ光のエネルギーが弱く、そこまでして完全に防ぐ必要があるのかという議論です。
              (同じPA+++であれば長波長を防ぐ代償にエネルギーの高い短波長のUVA防御効果が相対的に下がっていないか?)

              ただ、現象自体は面白そうですし、これまであまりフォーカスされていなかったところをアピールするなかなかうまいやり方に思います。

              部外者が長文失礼しました。

              #827 返信
              beek labo
              キーマスター

                通りすがりさん からの書き込み(旧BBSより)

                こんにちは。

                大変勉強になるレス、とても参考になりました。ありがとうございます。

                さて、対象の成分が「ハイブリッド微粒子酸化チタンHXMT-100ZA」だと仮定しますと、UV-B領域においても優れた透過率を達成しているようです。
                そして400nmで30%ほどの透過率ですから、さすがに優れた効果を発揮していると考えて良いのでしょうね。


                剤型:W/S乳液
                有効成分:10 %
                膜厚:12μm
                基材:ポリプロピレン
                測定:日立U-3300 分光光度計
                という条件下とのことでした。

                #828 返信
                美里康人
                キーマスター

                  その後の書き込みを拝見できず、すいませんでした!

                  部外者様の専門技術面でのフォロー、助かります。

                  こうした技術議論がここでできるなんて、楽しいですね^^
                  化粧品技術のリアルな一面がユーザーの皆様にお伝えできるのは、大変貴重な事と感じます。

                  化粧品技術と一言で言っても、製剤開発や素材開発、バイオ技術などなど、様々な分野の専門の方々が関わって作り上げられているのが化粧品のおもしろさ、そして難しい一面でもあります。
                  私の専門ではない部分もこうしてフォローして下さる方々がおられると、ユーザーの皆様の良い勉強の場になるように思います。

                  最後に私から、違った側面から見たデータの解釈について。

                  UV遮断率の測定データは、測定方法によって様々な解釈ができます。
                  例えば、一般的な測定機器として「SPFアナライザー」というものがありますが、この測定機器は試料の塗布の仕方によってある程度はデータを作為的にコントロールする事が可能です。
                  いわば、測定者の手次第、というところでしょうか。

                  他には、公的なデータとして使われる実際にヒトを使った試験においても、データの裏側には様々な背景が存在します。
                  例えば極端な例として、白色人種の方を被験者に使うか、黄色人種の方を使うかによって、当然その結果も違ってきます。

                  そういう意味においては、分光光度計を使ったUV吸収率測定も、解釈が難しい側面を持っています。

                  とりもなおさず、結果としてユーザーの皆様が欲している情報は、「実際に日焼けをどこまで防げるのか?」といった疑問に対する答えなのだと思いますが、実際には塗布量や塗り直し頻度によってかなりの違いが出てきますし、誤った使用方法をしているがために焼けてしまった、というトラブルが多いのが現状かもしれませんね。

                  とにもかくにも、日焼け止めアイテムは過信しない事が大切。
                  しつこい位に塗り直しを繰り返す事が、なによりの担保だという気がいたします。

                  以上、参考になればと思います。
                  通りすがり様、部外者様、貴重な書き込みありがとうございましたm(__)m

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