ビークラボ株式会社のサイトはこちら

紫外線アレルギーに日焼け止めは有効だろうか?

美里康人
夏本番。
日射しによって発疹が出る方の
紫外線アレルギー。さて、その対策に日焼け止めはどうなのでしょう?

 

紫外線アレルギーとは

先日、ツイッターでも回答のリンクを貼りましたが、@cosmeのQ&Aのコーナーで、日射しにお肌が晒されると発疹が出る皮膚症状の方の質問がありました。

これはいわゆる「紫外線アレルギー」によって起こる発疹症状で、実は私の身内にこの典型的な皮膚体質がいて、身近で経験してきました。
発疹とともに痒みを伴い、春先から夏場にかけては大変な思いをしていました。

アレルギー症状ですから数日すれば収まるので、当時は対策について真剣に考えたこともありませんでした。
ただ、子供さんといった痒み症状がガマンできない人はかきむしってひどい状態に至ることもありますし、今回のこのご質問を拝見してあらためて対策方法について考えてみました。

さて最初に、上で書いた「アレルギー」という言葉は、厳密には正確ではありません。
間違いとは言えませんが、正確には様々な皮膚疾病を総称して「光線過敏症」と呼びます。

アレルギーとは体内にその人特有の抗原を持っていて、それが反応して発病に至る疾病ですから、そうではない皮膚炎症状のケースも多いからです。
もちろん紫外線によってアレルゲンができ、それによって発病する方もおられますが、それに限らない皮膚疾病も多くありますので、諦めないで根治できる可能性もあるということです。

こうした主な光線過敏症を列記します。

・多形日光疹(紫外線アレルギー)
赤味を帯びた発疹で、かゆみを伴った症状。
腕などに出やすく、顔に発現することは少ない。
2~3日で自然に収まることが多い。

・日光蕁麻疹(紫外線アレルギー)
陽にあたった箇所全体が赤くなり、痒みを伴う。
陽を避けると1時間以内ほどで自然に収まることが多い。

・骨髄性プロトポルフィリン症
持って生まれた病気で、赤血球中のプロトポルフィリン量が少ないことにより起こる疾病。
皮膚が赤く腫れあがったり、ヒリつきを伴う。

・薬剤性光線過敏症
使用薬剤に紫外線が反応して起こる皮膚疾病。
特に貼付薬に起こりやすい。

実際には、1番目の1番目の紫外線アレルギーの方がほとんどを占めているようです。
ご自身の症状と傾向をこれに照らし合わせ、場合によっては皮膚科に行かれるとおクスリなどで改善される可能性もありますので、身に覚えのある方はご参考にされて下さい。

日焼け止めは有効だろうか

さて、ではどういった対策を講じるか、です。
道理として、物理的に防御するのがもっとも間違いありませんが、誰しもが考えることとして日焼け止めによるブロックを試みることでしょう。

そういう観点から考えると、まず間違いなく「紫外線散乱剤」が配合されたいわゆる「ノンケミ」と呼ばれる日焼け止めに効果が期待できるのは間違いありません。
素材の屈折率を利用し、全ての紫外線を物理的なメカニズムで反射散乱する素材ですので、有効に機能してくれると考えて良いでしょう。
最近の素材は微粒子化の技術が進み、お肌に塗布してもほとんど白くならずほとんど塗っているのが分からないレベルになっていますね。

こんな素材が使われています。
酸化チタン1
ウチの顕微鏡で市販の日焼け止めやファンデーションに使われている微粒子酸化チタンを、400倍で撮影してみました。

大きな塊は粉が集まって塊(ダマ)になっている部分で、肉眼ではダマには見えませんが、顕微鏡で見ると集まっているのが確認できます。
小さな点々になっている部分がひとつひとつの粉の粒で、10μm(マイクロ)のスケールよりはるかに小さいので、粒子径は1μm以下のナノサイズであることは見てとれると思います。
しかしながら、このまま化粧品に配合するとダマがたくさんあるため、本来のナノサイズによる紫外線ブロック機能は果たせません。

女子大の教科書としてご採用頂いている著書『化粧品の基礎知識』内でも製造のところで説明していますが、この「ダマ」をまず特殊な機械で全てをもともとの1μmの粒(一次粒子と言います)にまで戻してやります。
この作業を粉砕と呼びますが、そうすることで表面積が一気に広がってお肌に延び、白くならずに紫外線から防いでくれるわけですね。

酸化チタン2ちなみに変わったカタチをした酸化チタンには、こんなのもあります。
星形ですね(笑)
まさに紫外線を四方八方に散乱してくれる製法技術です。
*公式サイト:「住友大阪セメント」参照
https://www.soc.co.jp/service/new_material/ultrafine/ultrafine02/

話を戻し、ノンケミと呼ばれる製品群に使用される紫外線散乱剤はほとんどがこうした酸化チタン・酸化亜鉛と思いますが、このうち酸化亜鉛は透明性が高い分屈折率が低いため、比較すると酸化チタンの方が防御能が有利と思っておくとよいかと思います。
特に冒頭のような疾病をお持ちの方は、できるだけ酸化チタンが前に来ている製品を選ばれるのもひとつの選択肢かもしれません。

そして一方の、「紫外線吸収剤」が配合されたいわゆる「ケミカル」と呼ばれる日焼け止めはどうでしょうか。

文献などをあさってみましたが、こうしたアレルギーを引き起こす紫外線の波長帯を狭い範囲にまで限定して特定する試験を行った治験はみつかりませんでした。

ただ、面白い情報としては、ジェルネイルに使用されているUVランプはこうしたアレルギー反応の実例は非常に少なく、あくまで推測ではありますが、ネイル樹脂の硬化に使用されるUVランプの吸収帯波長では起きにくい疾病と考えられます。
かなりの実績が蓄積されていますし、業界ではアレルギーに対して過敏に対処されてきているようですので、ほぼ間違いないと思われます。

つまり、ジェルネイルに使われる紫外線ランプはUV-A(350~415nm)の長波長紫外線ですので、アレルギーの引き金になる紫外線はこれ以外の波長UV-B(280~320nm)ではないかと推察されます。

また、一般的に皆さんもご経験のサンバーンと言われる紅斑や浮腫といった急性の症状もUV-B波による起こることが検証されていますので、なんらかの関係性があるのは間違いないでしょう。
これを参考にすれば、少なくともUV-Bに対応する紫外線吸収剤には防御の可能性はありますが、UV-Aに対応の紫外線吸収剤には効果は期待できないと考えることができますね。

対策に有効な成分

以下に、UV-B波の吸収に特化した紫外線吸収剤をピックアップしておきます。

・メトキシケイヒ酸系
・オキシベンゾン系
・オクトクリレン
・ポリシリコーン-15
・t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン

他にもありますが、現在市場にある製品に使われているのはこのあたりがメインになっていると思います。
こういったケミカルと呼ばれる日焼け止めを避けられる風潮もありますが、化粧品技術は日々進化しています。
もう10年も前からこうした紫外線吸収剤は、お肌に直接触れないようにコーティングやカプセル化された素材も開発されていますので、あまり潜入観念にとらわれず使ってみられると良いかもしれませんね。
そうした技術が導入された製品は、商品PRでそんな説明がされていると思いますので、ただ単に恐れるのではなく一度リサーチされてみてはいかがでしょうか。

というわけで、お日様にあたるとその直後から痒みが出たりブツが発生したりと、アレルギーのような症状に悩まされている方の注意点と、有効な製品を見分けるすべを取り上げてみました。

ただ、紫外線の防御は部地理的な方法として日傘を利用するといった直接的な方法がもっとも効果的ですので、こうしたUVケア製品と併用するのが確実ですね。

また、ここで日傘も「完璧」と書かなかったのにも理由があり、紫外線は太陽からくる直接的なものだけでなく、例えばビル街だとビルの壁面を反射して横から入射してきたり、地面のコンクリートやアスファルトからも紫外線は反射して下からも皮膚に照射されます。
ですので、こうした帽子や日傘といった物理的な防御に加えて、UVケアアイテムを必ず使われることをお勧めします。

もしも日焼け止めといった特殊な製剤アイテムはどうしてもお肌に合わない方は、今ではデイケアシリーズといったトータルのスキンケアで紫外線からお肌を守る考え方のコスメもありますので、活用されてはいかがでしょうか。

まだまだ残暑は続きます。
真皮にひと夏の痕跡を残さぬよう、素肌を大切にしましょうね。

ではでは。

by.美里 康人

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です