最近は市場にこのタイプは少なくなってきました。
ユーザーの間では”油分が多い”という認識が定着し、昨今の油分を嫌う傾向からミルククタイプやジェルタイプに移行してきている方が多くなりました。
しかしながら、メイク落ちが良い、マスカラも落とせる、転相(メイク落ちポイント)がはっきり分かる等の理由から、まだまだ市場ニーズはあるようです。
特にハードメイク志向の方には、オイルタイプもしくはクリームタイプでないと物足りないと感じる方が多いようです。
また、毛穴や皮溝にメイクが残ることが問題視され出した今、再び、このタイプは脚光を浴びるかもしれません。
では、クリームタイプにみられる転相についてここで少し触れておきましょう。
下図に表すように通常クレンジングクリームを顕微鏡で観察すると、水と油の状態は牛乳などと同様にO/Wの乳化状態を形成しています。
*O/W(Oil/Water):水の中に油の粒が分散した状態で、外側に水が配置されている状態の事を表す。逆をW/Oと表す。
そして、この状態では、図のように乳化の外側が水溶性成分であるために、主たる成分が油性成分で構成されているメイクとはなじむことができません。

ただしクレンジングクリームの乳化状態は、ギリギリのバランスになっており、すぐにW/Oの状態に変化するように処方構成を工夫してあります。

そのために、お肌の上でマッサージをしている間に水分が少しでも蒸発したり、メイク剤がクリーム中に溶け出してきたりすることによってO/Wのバランスが崩れてW/Oへと変化します。

そしてW/Oになったことによって外側に出てきた油分がメイクと馴染み始めて、テクスチュアも滑らかになりツルツルした状態でマッサージとクレンジング行為が容易になります。
この状態になったことを「クレンジングの転相」と呼んでいます。
そして十分にメイクと馴染んだ後に、再度お湯や水を加えることによって再びO/Wへと変化し、水に馴染んでお肌から洗い流されていくわけです。
これを「再乳化」と呼んでいます。

ここで気付かれた方が多いと思いますが、微妙な水分バランスが転相の重要なポイントとなっていることから、同じクレンジングクリームを使っていてもお肌や手に水分があったり、お風呂の蒸気の中で作業を行うと転相が遅くなってしまうことがあります。

"クレンジングクリームの転相は、お肌の温度で溶けることによる"という認識が一般的なようですが、こういうメカニズムによって起きていることを覚えておいてください。

この転相ポイントに関しては、個々のメーカーによって早い遅いがあったり、水洗時の再乳化がうまくいかなくて油が残ったり、という点に違いがあります。
この辺りがメーカーの製剤技術評価のポイントとなってきます。

クレンジングクリームは、大まかには
・油分が40~50%
・溶剤としての保湿剤が5~15%
・界面活性剤が5~10%
・水分が25~50%程度
で構成されています。
現在、クレンジングシェアの多くを占めるようになったのがこのジェルタイプです。
ただ一般ユーザーには、クリームより安心して使えるとの認識が根強いようですが、実は様々な剤型があり、アイテムによってテクスチュアや機能・安全性も全く違った商品が存在するのが特徴です。
例えば、同じジェルでもオイルがリッチなタイプはクリーム並みのメイク落ちを発揮しますし、水溶性基材のみで構成されているタイプは満足にメイクすら落とせないものまで市場に存在します。
また、このジェルタイプのクレンジングは機能性の高い商品を開発するのが困難で、市場に存在するアイテムの中には機能が満足しない物も多いようです。
おおまかにジェルタイプのクレンジングをタイプ別に分けて説明していきます。
1.オイルジェルタイプ
ジェルクレンジングの中でも、これは比較的ディープなタイプでクリームタイプ同様、油と界面活性剤がリッチな成分構成をとっているのが特徴です。
そのためメイク落ちに優れ、水洗もしやすくクリーム同様に転相も存在します。
ただし転相のメカニズムは若干クリームと異なります。
この成分構成から考えると、ジェルだから油分が少なく(なく)低刺激との認識は成り立ちません。

当初、このタイプのクレンジングは、花王さんがで開発しキュレルブランドで大ヒットを収めましたが、数年後にお風呂で分離する・チューブから油がにじみ出てくる・湿気が多い場所ではクレンジング力が一気に下がる等、安定性に問題が発生したために何度も改良リニューアルを行いましたが、結果的に解決には至らずに市場からは撤退せざるを得なくなりました。
現在のキュレルは、違った処方構成に変更されています。

その他各社がこのオイルジェルタイプの開発にトライしましたが、結果的に温度によるジェルの変化は根本的な問題(界面活性剤の温度依存性)となることから、問題を抱えたまま市販されている、もしくはノンオイルタイプに妥協した処方になっているのが実状です。

なお、唯一資生堂がこの問題を解決したオイルジェルタイプを市販していますが、これは特許により市場独占をした形になっています。
処方構成としては、
・油分が30~40%
・界面活性剤が10~20%
・糖類・保湿剤が15~20%
・水分が10~20%
となっています。
他には、オイルクレンジングをゲル化剤で固めた形も市販されていますが、このタイプとはまた異なります。
2.界面活性剤+水溶性ゲル化剤タイプ
最近はこのタイプが市場に多くなっています。
油分がほとんど配合されていないために、クレンジング力は界面活性剤にたよっています。
そのためにクレンジング力はあまり強くなく、メイクがにじみ落ちてくる感覚はあまりありません。
その分、洗い流した後は油分が残ったような感覚はなく、洗いあがりはさっぱりとし、少々水分がある場合でも機能は果たすことができます。
ただしメイク残りには注意を必要とします。
このタイプは油分を使っていないために低刺激と謳っているケースも多いようですが、その分界面活性剤の配合量は非常に多いので、一概にそれは正しいとは言えません。
最近はシリコンや油分を少し配合してメイク落ちを良くしている物も増えているようです。
処方構成としては、
・水分が60~80%
・界面活性剤が10~20%
となっています。
なお、油分が配合されている場合は5%以下程度と考えてよいでしょう。
3.洗浄剤+水溶性ゲル化剤タイプ
"ダブルクレンジング不要"と謳っているゲルクレンジングは、ほとんどがこのタイプです。
しかしながら、クレンジング機能は洗浄剤にたよっているために、メイクに対するなじみ性は非常に悪く、日焼け止めやマスカラ・口紅などはほとんど落とすことができません。
また洗浄剤の配合量も洗顔料よりもはるかに少なく、本来の機能が達成できていないケースがほとんどといっても過言ではありません。
処方構成としては、
・水分が70~80%
・洗浄成分が5~10%程度
が一般的です。